M2-XFEの虐殺
旗艦級戦艦(タイタン)の激突
EVE(およびテレビゲーム)の歴史上、最大規模の戦闘が数か月にわたって激化し続けています。両勢力ともニューエデン最大級の大型キャピタル艦隊を擁し、大規模な対立は避けられない情勢となっていました。戦いは熾烈を極め、各勢力の勝利、生存、士気に、致命的な影響を与える戦闘が繰り返されています。
2020年12月30日、ニューエデンがこれまで経験したことのない破滅的な戦いは、ついに頂点に達します。PAPI軍はデルヴのImperiumの拠点への侵攻を続け、M2-XFEの星系において一見「無関係」と思われる(1、 2)キープスターに襲撃を開始しました。PAPIはそれほど抵抗を受けることなく、シールドタイマーを解除することに成功しましたが、アーマータイマーの時間になる頃には、Imperium軍の大型キャピタル艦隊も対応準備ができていました。
Imperiumの要撃型フリゲートパイロットが1機、戦いの火ぶたが切られる直前にM2-XFEのサイノシュラルジャマーを攻撃し、サイノシュラルジャマーの修復が完了するまでの間に、大規模な援軍を投入する余裕を確保することができたのです。その後もサイノシュラルジャマーは、Imperiumの少数のパイロットにより複数回に渡る攻撃を受け、さらなる援軍投入のチャンスを与えることとなりました。しかし攻撃側も援軍艦隊を投入してきます。両者とも、数(と火力)で優位に立とうとしていたのです。
22時33分(グリニッジ標準時)、PAPI軍はキープスター下に移動し、Imperium軍がキープスターの安全圏を離脱して交戦するかを固唾を飲んで見守っていました。ストラクチャにいたPAPIによって戦いの火ぶたが切られ、Imperium軍は安全圏を離れ応戦を開始。EVE史上最も破滅的な戦禍をもたらすこととなりました。
戦いは約14時間続き、互いの旗艦級戦艦や大型キャピタル艦隊に次々と引導を渡していきました。両者の力は驚くほど拮抗し、ほぼ同じ速度で大型キャピタル艦隊を失っていったのです。戦火は翌日のダウンタイムまで継続し、PAPI軍に対して、サーバーのオフライン後ログアウト状態を継続させるよう発令が出されました。ニューエデンがこれまで経験したことのない大規模な会戦の後、残されたのは旗艦級戦艦の瓦礫の山でした。
(ここに掲載された写真は、実際のゲーム内キャプチャ画像です)
最終報告
__損失ISK:__29,111,604,784,863
撃墜された旗艦級戦艦数:257
__撃墜された艦船総数:__3,404
損害額(米ドル相当):$378,012 *PLEXの平均売却額を元に算出。この数字は単に破壊の規模を表すのものであり、参加者がこの戦いに費やした実際の金額ではありません。 *
撃墜された最高額艦船:Grencia Marsのヴァンキッシャー 約381,097,221,673 ISK - 米ドル換算でなんと$5,500!
永遠の証
残骸の中に、M2-XFEにモニュメントが建造されています。
デザイナーからのコメント:当初のコンセプトは頭の中で明確に形になっていました。半円の中に戦闘態勢の2大勢力の艦隊を置き、中央には戦闘に加わったプレイヤー全員を記録したバナーを掲げたジオラマです。戦闘の壮大なスケールを象徴するような、威風堂々としたものを望んでいたのです。メイン構造はハットルグリムス教会の建造物の雰囲気に大きな着想を得ました。チームからの提案で、キープスターの形も取り入れることになりました。その観点から1つのピースもしくは複数のパターンで、キープスターの形を再現することを試みました。メイン構造の形が固まってから、以前にキープスターのベースとして試作した形をいくつか組み合わせ、最終的にキープスターを内部に包含した半円モニュメントが完成したのです。
数字から見たM2戦争
この戦いに関連する数字は、参加していない人々にとってはあまり意味を持たないかもしれません。そこで、EVE史上最も熾烈な戦闘をまとめて、今回の戦いのスケールを実感していただきましょう。中にはB-Rの惨劇など、聞き覚えのあるものも出てくるかと思います。
この表の数字は、この戦いでプレイヤーが使った正確な額ではありません(ほとんどのフリートは何千時間ものプレイ時間に換算されるものです)が、全ての艦艇や施設をPLEXで購入した場合、これぐらいの額となります(しかも、破壊されたものだけで!)。米ドルでの評価額は、当時のPLEX購入の平均額と、ISKの平均市場価格を使用して計算しています。
興味深いことに、ISKの価値が時間とともに変化していることが分かります。特に、B-R(2014)のISKとUSDのグラフに注目してください。
2nd Battle of M2-XFEのデータは、戦闘中に問題が発生したため今回のグラフには含まれていません。たとえば、戦闘を生き延びた艦船が生成するキルレポートの信頼性の低さが問題に挙げられています。
M2-XFEに参加した1,304隻の旗艦級戦艦のうち、257隻が撃墜されており、割合にするとおよそ20%です
EVE Onlineのバトルは、2014年のHED-GPやB-R(数日間の違いですが)から今日まで、時間経過とともに拡大してきました。FWSTで記録した1バトルでの最大プレイヤー数を更新することにはなりませんでしたが、上位には確実に食い込んでいます。またこのグラフは、破壊面での数値がトップクラスの戦闘しか挙げていないことにもご注意ください。
以下で補完しているデータは、パートナーであるZkillboardのデータも含まれています。このデータは「公式」ではありませんが、比較的正確な数値です。ESIデータが提供されないと潜在的なキル数が表示されないため、実際の数字より若干低くなっている可能性はありますが、257隻の旗艦級戦艦撃墜が確認されています。
旗艦級戦艦の損失という観点では、この戦いには明確な勝者が存在しません。PAPI軍が合計130隻の旗艦級戦艦を失ったのに対し、Imperium軍は122隻を失っており、わずか8隻の僅差となっています。
旗艦級戦艦はその大きさ、パワー、価値のせいで注目されがちですが、戦場に展開していた艦船はそれだけではありません。準キャピタル級艦船で参加した1,000人以上のプレイヤーも、それぞれ役割を果たしています。損害額の詳細を知りたければ、こちらのバトルレポートをご確認ください。
バトルの実際の規模は?
ISKやドルでの換算はこれぐれいにして、EVE Onlineの世界における旗艦級戦艦の存在感についてお話しましょう。旗艦級戦艦は巨大な兵器ですが、一体どれくらいの規模なのでしょうか?具体的には 2,400,000,000kg(アバターの質量)です。これは2,645,547 US トンとなり、エンパイアステートビル7個分 (src)、全長約14km(8.5マイル)となります。旗艦級戦艦1隻で惑星を脅威に陥れることができ、惑星にとっては遭遇したくない相手でしょう。
タイタンの残骸は591,100,000,000kgで、危険な大型アステロイドに相当します。地球周辺で潜在的な危険をはらむ小惑星4769番カスタリアよりも少し大きい程度です。残骸をサルベージしてモニュメント建設に役立てることで、有人惑星への被害を避けられるのはありがたいことです。
全旗艦級戦艦1304隻の総質量は2,999,200,000,000kgとなり、小惑星1566番イカルスよりわずかに大きい程度です。イカルスは地球近傍小惑星で、潜在的危険物体であるため、マサチューセッツ工科大学で万が一の地球衝突を回避するためのプロジェクトが立ち上がっています。(最終的な計画では100メガトン級の核弾頭6基を使用しての問題解決が想定されています)。
全旗艦級戦艦を合わせた全長:(タイタンの平均全長を15.75kmとした場合)20,538km – 地球の約半周に相当します。原寸を考えれば、相当な規模の戦いです。ここに掲載したタイタンの戦場での画像は、数百から数千キロメートルにわたるというわけですね!
しかし今までの話はサイズと質量の豆知識に過ぎません。大型兵器の目もくらむような規模にはまだ触れていないのです。この戦いに投入された総火力は、まさに地球を揺るがす大きさでした。ざっくりとした見積もりでも、兵器を同時に発射した際の総エネルギーは、小さな恒星級で(ニュークリア弾Lのチャージ質量、ダメージと、近代核兵器を比較して推定)、1,000億テラジュール以上となります。もちろん、他にもさまざまな推定方法が存在し、多くの数字が割り出されるでしょう。
ドラマは続いている
戦争はゼロセク宙域で激化しており、この会戦以降も物語は続いています。PAPI軍が罠にかかり、Imperiumの「地獄のキャンプ」から何とか逃れたエピソードもその1つです。私たちは、EVE史に残るすばらしい業績や歴史的イベントをお祝いできることを嬉しく思っています。また、皆さんが紡ぐ壮大な物語の続きをいつも楽しみにしています。
IRazorien EVE(現在はCCP Apertureとしても有名です!)提供のバトル映像
参加者のコメント :
「今回の戦いは、それほど重要でない星系でキープスターをめぐる、素手での流血の殴り合いでした。それがEVE史上最大規模の戦いとなり、14時間を超える長さで、今までの主要な戦闘すべてを合わせたよりも多くの旗艦級戦艦が撃墜されました。この戦いに参加し、最初から最後までライブで見ることができてとても嬉しいです。…自分も旗艦級戦艦を失ってしまいましたけど。」 - Brisc Rubal、Imperium軍
「この戦いは両軍が兵器を数年間蓄えた上で総当たりで戦う、ポーカーのようなものでした。一方がリソースをフル投入して戦争を拡大していき、もう一方も全力で対応していく。マンパワーの面だけでなく、資産額においてもです。数年間の努力の成果が失われてしまうこともあり得るため、1回でこれほどのリスクを負った戦闘を見るのはEVEにおいては珍しいことです。しかし、その珍しい状況が実際に発生し、参加者全員にとって、これまで経験したことのないスケール、損失規模の戦いとなりました。本当に驚くべきことです。」 - Gobbins、PAPI軍
バトルに関するコミュニティ投稿
https://imperium.news/m2-xfe-in-pictures/
https://gamestogather.org/eve-online/the-irrelevant-keepstar/
https://tagn.wordpress.com/2020/12/31/titan-massacre-at-m2-xfe/